top of page
検索
  • 執筆者の写真上羽 徹

“note”のIPアドレスが流出したことのみで、損害賠償請求ができるのかどうか

更新日:2022年8月22日


 “note”というブログサイトで、記入者のIPアドレスが誰でも」見られる状態であったことが話題になっています。


 一般的なIPアドレスであれば個人が特定できないと、“note”は声明を出しています。これはどういうことか解説します。

 まず、IPアドレスとは何か、という質問に対し、インターネット上の住所のようなものと説明することがあります。間違いではないですが、私はこの説明は不適切だと思います。なぜなら、このように説明するとあたかもIPアドレスだけで、住所が特定できるように受け取る人が出るからです。私は、IPアドレスとは、レンタルの携帯電話みたいなものと説明することにしています。

 つまり、IPアドレスは、あなたが契約している契約プロバイダーから借りている携帯電話みたいなもので、その携帯電話を通じてみなさんは、インターネットに接続しているのです。この携帯電話の電話番号がIPアドレスなのです。しかも、この携帯電話、接続する度に違う電話番号が振られるのです。

 実際には、IPアドレスのみでわかるのは、そのIPアドレスがどこの接続プロバイダが所有しているのIPアドレスかだけです。そこから個人情報を特定するためには、そのプロバイダに対し、問題のIPアドレスが使われた時間を特定して、その時間にそのIPアドレスを使っていたのは誰か、と問い合わせる必要があります。接続プロバイダは、正当な理由がない限り、裁判手続きを通じてしか回答しません。

 つまり、IPアドレスが流出しても、あなたが契約している接続プロバイダがわかるだけなのです。ですので、名前や住所が特定できることはまず考えられません。

 “note”はあえて「一般的な」と声明しています。これは、【そのIPアドレスが企業や学校のものだと、記入者の職場、学校がバレてしまう可能性がある】ことを暗に示しています。

 もちろん、“note”からIPアドレスがが流出して何らかの不利益が生じる可能性はあるでしょう。その場合は、発生した損害に対して損害賠償請求することは可能です。ただ、IPアドレスが流出したことのみで、損害が発生するとは考えにくいので、損害賠償請求はできないと思われます。

bottom of page